にほん昔話 鉄夫ジィサンの饅頭怖い

 暖かくなって来たなぁと思っていたら、お昼からは天気は下り坂となった。ぽつぽつと降り出した雨は、本格的に降ってきている。この雨にのって、春が訪れるのだろうと無理やりに思うことにした。春の雨なので、ついこの前までのように身を切るような冷たさがないのが何よりだ。これで、春の農作物へも慈雨となって、順調に生育してくれればありがたい。 



論語、論語、顎ぅ・・・あっ、言い間違えた。


Long Long Ago そう、昔むかしのことです。

ある村に、鉄夫爺さんが住んでいました。

鉄夫爺さんは、ある宗教に帰依して、毎日毎日お祈りをしています。おかげで、神様がお守りしてくれているのだと信じていました。

村人たちは、朝な夕なのお祈りのうるささに辟易としていたそうな。それでも、鉄夫爺さんは村人を代表した役割をしているだけに、無碍にもできません。村人たちは触らぬ神にたたりなしと、そっとしながら接していましたとさ。

ある時、鉄夫爺さんはC国からこの村に来ているお大尽の呉江浩ジィサンと村の談話室でお話し合いをしたそうな。


秘密の隠し事は、いつまでも隠し通すことはできません。ひょんなことで、その話し合いの場を、一人の村人の子が見てしまいました。その子は、親にそのことを話したため、とうとう村人たちの知るところとなりました。そして、村人たちは、「鉄夫爺さんはC国とつながっているんじゃないか。ひょっとするとC国の手先なのかもしれんぞ。」と噂をしだしました。

鉄夫爺さんにとっては、青天の霹靂。とてもじゃないけれども、こんな噂話をひろめられると、C国に慮ったことを実行することには障害になることは当たり前のことと思えました。

「とんでもないことじゃ。これまで、秘密にしていたことが村人にばれたら、村人たちの上に立って、うまいこと人々を誘導することもできんぞ。C国のえらいさんにも怒られちまう。何とか手を打たないといけないじゃないか。」と釈明をする方策を考えだしました。


鉄夫爺さんは「これこれ、何をいっとるんじゃ。やましいことがないから、村の談話室をつかったんじゃ。C国との密談やら、怪しげな話なら、村の談話室なぞ使うわけないじゃろ。そんな危ない話なら、通りにある茶屋やら、お食事処やら、一杯飲み屋を使うでな。まったく、C国の手先とはよう言うたもんじゃ。わしは、ほれ、この村の発展だけを考えとる生粋の村人じゃ。なんせ、神様もご加護してくれておるからのぉ」と言い繕いましたとさ。

でも、村人たちは目をひん剥いておったまげたそうな。

「やっぱり鉄夫爺さんはC国の手先じゃったんじゃ。誰もいうとらんのに、C国との密談やら怪しげな話と、自分から暴露してるっちゃ。だいたい、茶屋とか、お食事処やら、一杯飲み屋のほうが壁に耳あり、障子に目ありで、内緒の話はでけんぞな。村の談話室なればこそ、密談やら、怪しい気な話ができるはずじゃわな。」

鉄夫爺さんは、言い訳をすればするほど墓穴を掘っていったそうな。自分から、C国の手先であることを、ぺらぺらとしゃべってしまいます。物言えば唇寂し・・・というよりも、言えば言うほど、手先であることを証明する言質を出してしまいました。もう、自らC国の手先であることをあぶりだすのが使命であるかのように、聞かれもしていないのにどんどんと証拠を示して、「わしゃC国の手先ではないぞ、違う、違うぞ」と自らあぶりだしていったそうな。


もう、村人のみんなはわかってしまいました。鉄夫爺さんは毒饅頭かハニートラップか、その両方ともに引っかかって、村をC国にしようとしているC国の手先であることが。しかも、人が良い鉄夫爺さんは、隠そうとすれば隠そうとするほど、自分の悪事を秘密にしている心苦しさから、ついつい隠し通すべき秘密の周辺を自分からしゃべってしまっているそうな。とうとう、鉄夫爺さんは誰からも信用されず、相手にもされなくなって、ひっそりと隠居してしまって表舞台には出れなくなったそうな。

「饅頭怖い」といって、饅頭を食べてしまったの落語だけではなく、鉄夫爺さんも饅頭が怖かったそうな。ついでに、その後に「今度は、熱いお茶が怖い」とは言わずに、「今度は、ハニーも怖い」と言ったとか、言わなかったとか、口さがない人たちは言い合ったそうな。めでたし、めでたし。

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