てふてふ

 今日も梅雨の中休みなのか、朝から太陽が顔をのぞかせてくれている。気温も上がっている。この時期に既に真夏日を迎えるとは驚きだ。真夏日なのに無防備な老人が、またまた死亡したといっている。暑さを感じないのか、老人の熱中症での死亡が今年も相次いでいる。




先日、σ(-"-) の市内で開催されていた講座に出席をしてみた。なんでも、市の教育委員会の人が講師をしているものだった。

その中で

てふてふが一匹韃靼海峡を渡っていった

という詩の解説が行われた。創作者の安西冬衛氏の生い立ちから説明が行われた。そして、韃靼海峡についての解説が行われた。韃靼海峡っていうとなじみはないけれども、間宮海峡と言われると、途端に理解が進む。小学校の教科書で間宮林蔵の話は国語で社会で教わった。しかし、なぜ間宮海峡とは言わず韃靼海峡って言ったのかは解説がないままだった。安西冬衛氏はキャリアを見ると戦前に満州に渡ったという事なので、まだ択捉島は日本の領地だったわけで、間宮海峡と呼ぶ方がふさわしいのに、なぜ韃靼海峡って詠んだんだろう。

この辺を説明することなく”てふてふ”はどちらからどちらに飛んで行ったのかを解説しているのだがから、すこし引っかかってしまって、講師の話に没入できない状況が続く。

この講師の説明によると、安西冬衛氏は満州に渡ったのちに関節症で足を切断したそうだ。そういう背景を踏まえてみると、”てふてふ”は満州側から日本に向けて韃靼海峡を飛んで行っており、それを満州にいる安西氏が見ていたのだという解説で終わった。



なんだか、小学校の国語の試験で、この問いの答えの正解はこれしかないんだというような、少し上から目線の解説の仕方だと感じた。これなら、σ(-"-) の考えはしかもらえないだろうなと感じた。まぁ、市の教育委員会の人というぐらいだし、話の端々に先生という言葉が出てくるところから、どこかの小学校の先生をしていて今は教育委員会に来ているのだという事がわかる。

σ(-"-) は、”てふてふ”は安西冬衛氏そのものなのではないかと、この詩を読んでそんなことを思っていた。ここで描かれている”てふてふ”はアサギマダラという名の蝶らしい。なんでも「鬼滅の刃の胡蝶しのぶ」の隊服と髪飾りがアサギマダラをモチーフとしているそうだ。


安西冬衛氏はきらびやかな服を着て、希望と野心にあふれて満州に渡ったことなんだろう。そして、いまや関節症にかかり右足を切断され、失意の日々を送っていたのかもしれない。そんなある日、アサギマダラが海峡を渡っていくのを満州側から見ていたのではないだろうか。あの煌びやかな服を着て、強い風の吹く荒波の海峡の上を、ひらひらと波にのまれそうになりながらも、飛んで行く。風に押し戻され、今にも海中に落ちそうになりながらも、それでも日本を目指して飛んで行くアサギマダラ。そんな”てふてふ”に安西冬衛氏は、自分の心・自分の思いを投影したのではないのか。


自分を取り巻く環境、しがらみやあきらめといった気持ちにからめとられることなく、明日を夢見てチャレンジしていくことが、今の自分にとって何よりも大切だという事を思い出せせてくれて蝶。もう一度、挑戦していく奮い立たせてくれたことをあらわしたくて、”てふてふ”は一匹で荒波をも乗り越えていった。失意の中にある自分の気持ちを託した”てふてふ”は勇敢にも日本へと渡っていった。そこに、希望とか明日への望みが生まれてきたのかもしれない。そうだ、自分もあの無力にも思える”てふてふ”と同じように、もう一度これからの人生の荒波を、一人で何物にも臆せずチャレンジしてくんだと、心新たに誓ったのではなかろうか。その思いを、この一行の詩の中にあらわしているのではないのだろうか。この一行の詩からいろいろな物語が見えてきそうである。


なのに、この講師は通り一遍の上っ面の話ですましている。もうこの辺になると、講師の話を聞いているよりも、自分の頭の中での妄想で韃靼海峡を望む安西冬衛氏と一匹のアサギマダラのことでいっぱいになっていた。

しかし、この講師がσ(-"-) の先生だったら、σ(-"-) は落ちこぼれの生徒だろう。画一的な答え以外を説明しないのだから、σ(-"-) みたいな妄想で遊んでいるような生徒は不正解の一言で済まされそうだ。


もっとも、こういう先生が多くいるので、日本人は画一的な金太郎飴のような人を作り出すことに成功してきたのだろう。それにしても、こんなに面白い題材ならば、この話だけで2時間くらいは持たせられそうだけれども、10分程度で済ますなんてもったいない。学校の先生と呼ばれる人は、どうも正解を気にし過ぎるきらいがある。だから、想像や妄想といった創造力や多様性にはついて行けないんだろうな。けど、学校の先生程、多様性をとか言っているって、なにかの笑い話なんだろうか。













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