電力こそ地産地消
日本の南側にいる熱帯低気圧が、今後台風へと成長するらしい。現在の予想では、ほぼ日本直撃のコースとなっており、6日にかけて日本列島を縦断するみたいだ。暑い夏が熱せられていた地表が、ちょっとは冷やされるのかもしれないけれども、9月の台風は大型がおおいので、災害の方が心配だ。
三菱商事が千葉県と秋田県での洋上の風力発電から撤退することを決めた。国が率先して計画していた再生可能エネルギーである洋上の風力発電にもかかわらず、そこからの撤退を決めたんだそうだ。 地方自治体としては、港湾整備費用などを支出していただけに、それぞれの言い分もあるのだろう。
しかし、一民間企業としてステークホルダーとの関係もある中で、保証金の200億円を放棄してでも撤退した方が良いという判断をしたということは、将来的に企業価値を棄損する恐れから、早めの撤退意を決めたのだろう。
民間の事業者として将来的な経営判断を行い、環境の変化によって今の補償金を放棄してでも撤退せざるを得ない決断を下さなければならなかったということは、経営者としては断腸の思いだろう。それでも、国策事業だから事業をやり続けろというのであれば、国が税金で補填をし続ける等の支援策がいるのではないだろうか。でなければ、株主や従業員など多くの利害関係者への責任が果たせなくなるのは目に見えている。
そもそも、国策というけれども、果たして洋上風力発電を推進しているのが、本当に正しいのだろうか。アメリカでも洋上風力発電は撤退をしているらしい。そもそも、電力の買取価格が、30円台/kW以上であれば採算も合うだろうけれども、現在のレベルまで下がってくると、さすがに厳しいのではないだろうか。しかも、洋上ということなので、耐久性やメンテナンス、故障等、その後の維持も大変だ。山の上にある風車でさえメンテナンスは大変なのに、海上につくるのだからなおさら大変になる。特に、潮風に常時さらされるだろうから、塩害もヒドイことだろう。まして日本では台風もやって来るし、大しけもある。こんな状況では30年と言わず、20年という耐久性すら困難ではないだろうか。
低周波騒音の問題等で、人里離されたところでの建設を検討しているのだろう。電力が必要なところから、遠くなれば遠くなるほど、送電時のロスは大きくなってしまう。電力こそ、地産地消で、電力が必要な人がいるところで電力を作るという事を行うべきではないだろうか。どうも、臭いものには蓋というか、便利な生活を享受したがるのに、その代償はいやがる。
円安やインフレという世界的な潮流の中、入札時よりはるかにコストが上がり、今後の稼働時における維持やメンテナンスを考えると、撤退やむなしとなったのか。しかし、電力はこれからますます需要が増えるだろう。自動車も電気、夏場はかつてより高温化しエアコンなしでは命の危険が生じる、AI革命とやらでコンピュータもスマホも今まで以上に必須とかしてますます電力を必要とすることだろう。電力の需要は右肩上がりなのに、供給は横ばいで推移しそうだ。国としても、電力の供給を増やしたいと考えているのだろう。
それならば、いっそ公益法人として電力の供給を図ることが、国策としても必要なのではないだろうか。電力を必要とする人が、受益者負担として電力料金を支払うことが当たり前である。しかし、公益法人なので利益は生まなくてもよいとすれば、そこまでの価格高騰も引き起こさないのではないだろうか。ただ、仕組みを精査しないと”お役所仕事”になって、無駄な仕事が増え、慢性赤字の体質に陥ることは避けなければならない。
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